とりあえず比較してみた
今日ではケースの種類はおびただしい数あり、全てをご紹介するのは困難と、早々に諦めました(早いよ)。今回は音大生の中でポピュラーなケースをピックアップして解説します!
※文中の重さや価格などの数値は、各販売店舗により記載にかなり変動があるため、おおよそのものとなっています。ご了承ください。
強さ×仏流の洗練されたフォルムのBAM
フランスのメーカーBAM(バム)は、弦楽器のみならず、管楽器のケースも多数製作している、まさに「楽器ケース屋さん」。カーボン素材を用いた「強さ」を洗練されたフォルムで包み込むのは、フランスの製品らしい、さすがのセンス。ヴァイオリンケースは、三角形の「ハイテックフォルム」シリーズが人気で1.6kgと、今回取り上げるケースの中で最軽量。一方四角い「ハイテックオブロング」のほうはかなり重量級で2.6kg。ただし中に空間が多いため、シャツ・ブラウス・スカートなどの衣装を詰められるとか。
バム BAM 2002XLSC シルバーカーボン ヴァイオリンケース
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価格は高めで、三角で10万円前後、四角で15万円前後。蓋は防水性で留め金式ですが、たまに浸水情報があるので、過信は禁物です。カラーバリエーションはグレー系に偏りますが、赤青黄白なども存在し、ごくたまに期間限定エディションも出ます。
ドイツらしい質実剛健さのGEWA
ドイツ発の楽器メーカーGEWA(ゲヴァ)が手がけるケースは、もともと木製の伝統な作りのものが主流です。とりわけひょうたん型ユーザーは、GEWAの「シェル」シリーズ使用者が多いと言えるでしょう。1.7kgという軽さに加えて、2万円前後という価格も魅力です。
GEWA ゲバ バイオリンケース WETTERSTEIN(シェル型)ブラウン
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そして最近のGEWAといえば、飛行機対応の四角いケース「Idea」シリーズが大人気。通常重たくなりがちな四角型のハードケースなのに、2.0kgを切るという快挙も成し遂げました! 圧倒的な薄さがその理由。ただし塗装(カラー)によっては2.0kgを超えます。お値段は軽いほど高く15万円弱、2.0kg越えだと10万円以下のものも。
イタリアらしい機能美! MusafiaとRiboni
イタリアの製品といえば、家具や衣服などからもわかるように、機能性を兼ね備えた美を持つデザインが特徴。Musafia(ムサフィア)のケースは内装までゴージャスな一品です。その丈夫さで右に出るものはなく、圧倒的重さも誇ります(汗)。四角型で3kgは今日ご紹介する中で最も重く、そして価格もヘビー級な20万円ほどとなっています。それでも絶えずユーザーがいるのは、誰よりも楽器を守ることに長け、湿度計もデフォルト装備された内装の素晴らしさゆえ。
同じくイタリアのRiboni(リボーニ)は、木製四角型ケースでいち早く機内持ち込み手荷物サイズに対応。ギリギリのラインですが、縦横高さの合計115cm以内の壁を破りに行きました(ふんわり測ると即オーバー)。薄くすることが難しかった木製ケースの世界で、独特のカーブで限界に挑戦した結果、重さも四角型としては軽い2.0kg前後に収まりました(ストラップのクッションがしっかりしているため実質2.2kgくらいあります)。価格は8万円前後とやや良心的。カラーバリエーションは渋め、しかもベースは全てブラックです。
とにかく色がかわいいEastmanとAccord
アメリカのEastman(イーストマン)のケースこそが、カラフルなケースの火付け役。ドラマ「のだめ」の峰龍太郎はこのケースの赤を使っていますし、映画「四月は君の嘘」の主人公・宮園かをりはこちらのピンクを持っています。カラーバリエーションは約20色、男女問わず合う色を選べるのが強み。もし気に入った色がない時はオーダーもできます。価格は3万円弱、重さは2.0kgです。これはいくつか揃えたくなってしまいますね。
イーストマン バイオリンケース パステルピンク/CAVL16/定番 バイオリン ハードケース CAVL-16
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クロアチアのメーカーAccord(アコード)のケースは、なんと210色ものカラーサンプルから色を選べます。人と被らない色を持ちたい人にはぴったり。ただし四角型にも楽譜ポケットはありません。四角型で重さ2.1kg、価格20万円程度。ひょうたん型で重さ1.6kg、価格17万円程度です。
安心の日本製・TOYOとSuper Light
日本人としては、国産ケースも見逃せません。TOYO(東洋楽器)の「ULオブロング(=四角型)」シリーズは、初めて大人サイズの楽器を持つときにも人気のモデル。シンプルでオーソドックスなスタイルは使い勝手良し、2.0kgと軽く価格は4万円程度。そしてTOYOといえば、国内線航空会社に公式に認定されている機内持ち込み可能ケースのメーカーであります。「プリュームファイバーヴィオ」シリーズがその正体、こんな細身ですが弓は2本入ります。カラーバリエーションも豊富で、重量1.8kg、お値段6万円前後。
東洋楽器 バイオリンケース プリュームファイバーヴィオII プラチナワイン
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根強い人気のSuper Light(スーパーライト)は、ソフトな触り心地が優しく持ちやすいケース。四角型のオブロングモデルで2.0kgは、TOYOと並んで最も軽い記録です。楽譜ポケットも納得の収納力で価格は4万3200円。コスパはかなり良いとか。ただし蓋すら柔らかすぎて、満員電車で楽器が割れた、という情報もあります。
スーパーライト(Super Light) オブロングバイオリンケース(四角型) バーガンディ
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さすがはオシャレ大国! 韓国のLang
さて、お隣韓国のLang(ラング)というメーカーのケースは、どれも楽器ケースとは思えないほどオシャレで、女子の憧れです。革張りだったりする分、2.7kg前後と女の子が持つにはちょっと重たいのですが、充実のポケットや安心とオシャレを兼ね備えたベルトのせいだから仕方ない! 価格はモデルによりかなり違いますが、だいたい8万円くらいです。
ラング Lang/バイオリンケース Violin Case CK-88【ラング】
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ケース比較の図を作ってみた
たくさんのメーカーをご紹介したので、少々混乱させてしまったでしょうか…安心してください、重さと色合い(オシャレ度)で座標軸に分類してみました!
ケースを重たいと感じるかどうか、そこには「2kgの壁」が存在します。どのメーカーも「安全」を謳っていますが、しっかり守りたい人と思う人ほど重たいケースを選ぶ傾向にはあります。あるいは四角と三角を両方持っていて、シーンにより使い分ける人も少なくありません。
楽譜も入る四角型が良いのか、とにかく軽い三角が良いか……ご自身がケースを使うシチュエーション・移動手段・移動経路・荷物との兼ね合いを考慮して、お気に入りのケースを探してみてください♪
この記事がみなさまのケース選びの参考になりましたら幸いです。
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