今日、何着ていく?>>>野外演奏会@イタリアの音楽祭

演奏会に行く際のコーディネートや、会場で目にしたステキなファッションをご紹介していく連載第2弾。今回はヴァイオリニストの卑弥呼こと原田真帆が、夏休みを利用して訪れたイタリアの音楽祭の中からお送りいたします。

夏のイタリア、気温は高いけれど

気温は高くても、カラッとしているのがヨーロッパの夏。イタリアは特に暑いので、夜になっても気温が25℃を下がりませんが、湿度がない分、日本の夏のようなむさ苦しさ・ベタベタ感はなく、外を歩いていても苦ではない感じです。

この日向かったのは野外演奏会。気温も高ければ、冷房もないので、冷えを心配する必要はありませんでした。涼しいトップスにクロップドの黒パンツを合わせて出かけます。

写真を撮り忘れました

ずいぶんド派手な色のトップスなのですが、胸元の刺繍やリボンがちょっぴりドイツやチロリアン系の民族衣装モチーフに似ているので、このトップスを選びました。なぜならこの日のプログラムは、ドイツの民族音楽を基調とした音楽だったからです!

野外演奏会のポイントとしては、場合によっては客席が原っぱにあることや、立ち見になることもあるので、足元は疲れにくい靴のが良いでしょう。この日の会場は舗装された広場に客席が用意されていましたが、ほぼ満席だったため、広場の脇の石段に腰掛けました。こういうことも予想されるので、汚れてもかまわない格好のほうが安心かもしれませんね。

それでもおしゃれなイタリア人

しかし、外だから虫に刺されないように長袖長ズボンで、お尻が地面についても良いような格好で……と考えるのは、日本人的発想なのかもしれません。

会場に来ていたお客さんの服装を見てみましょう。特徴的に思ったのが、女性の多くがカジュアルドレスアップというか、よそゆきなワンピースのようなおめかしをしてきていたこと! たとえば東京も奥さまがたはよそゆきの格好でいらっしゃいますが、イタリアはそれをもう少し “ドレス” に寄せた感じ。いわゆる「ドレスワンピース」といったところでしょうか(そのまんま…)。しかし足元は歩きやすそうなフラットサンダルで、暑い気候と石畳の土地に合わせたファッションなんだな、と感じました。

画像はイメージです

一方男性陣はほかの都市と特別違いは感じませんでしたが、しいて言うと色鮮やかな印象。ビビッドカラーのポロシャツを着たイケてるおじちゃまが多かったです。また半ズボン×サンダル率も高かった気がします!

夏の音楽祭ならでは! 演奏家の衣装も楽しい

そして今回特筆すべきなのが、演奏家の衣装!! まず出演者の中で目を引くのが、民族音楽のグループ。ポスターからもわかるように、ユニフォームがドイツの民族衣装なんです!

民族音楽グループとクラシックの弦楽合奏団のコラボという内容だったのですが、そんなプログラムに合わせて、合奏団のマエストロも指揮者らしからぬ格好で登場!  こちらのマエストロは普段オールブラックで登場することが多いのですが、カーキ系のジャケットに半ズボンという、映画『サウンド・オブ・ミュージック』の少年たちを彷彿とさせるようなコーディネートで登場。わたしは思わず拍手の中に「かわいい!」という言葉を溶け込ませました。

左が普段のマエストロ、右がこの日の衣装

ヨーロッパにおける夏の音楽祭は、日本で言えばお祭りのようなもので、街の人たちが毎年楽しみにして出かけます。日本ではお祭りに行くときに浴衣を着てもいいし、洋服で行く人も多いですよね。何のために浴衣を着るかといえば、より楽しむためだったり、特別感を味わうためだと思います。

イタリアのみなさんがちょっぴりよそ行きの格好なのも、きっと理由は同じ。服を選ぶことは、何よりも自分の楽しい気持ちを作ることにつながっているんじゃないかな、と思いました…♪

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栃木県出身。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、同大学器楽科卒業、同声会賞を受賞。英国王立音楽院修士課程修了、ディプロマ・オブ・ロイヤルアカデミー、ドリス・フォークナー賞を受賞。2018年9月より同音楽院博士課程に進学。第12回大阪国際音楽コンクール弦楽器部門Age-H第1位。第10回現代音楽演奏コンクール“競楽X”審査委員特別奨励賞。弦楽器情報サイト「アッコルド」、日本現代音楽協会HPにてコラムを連載。