こんにちは!
少々難しい印象の現代音楽を「ちょい聴き」をキーワードに楽しんでいこうというこちらの連載。今日は先日に引き続き、エンジニア、そして建築家でもありながら、作曲家としても才能を発揮したヤニス・クセナキスについてご紹介いたします!
▶︎前編:「一人三役! エンジニアと建築家と音楽家の肩書きを持つクセナキスの音楽観」
今回は打楽器という側面から、クセナキスのさらなる魅力に迫りましょう。
クセナキスの打楽器曲
クセナキスといえば、打楽器作品の演奏機会が特に多いです。彼の打楽器曲を聴いてみると、本能に任せて楽器を打つような、どこか原始的で野性的な音楽を感じることが多いはずです。そのような音楽性が打楽器奏者の根本を引き出しているのかもしれません。
では実際にクセナキスが作曲した打楽器曲をご紹介します。
『プサッファ』
まずは独奏曲『プサッファ』の冒頭の譜面をご覧いただきたいと思います。
画像がぼけてしまっていて恐縮ですが、このマス目と点だけのものが譜面なんです。ひとつの横線に、ひとつの楽器があてがわれており、縦線は拍を表しております。打楽器だからこそ、書くことができる表記ですね。
この曲はアクセントや強弱記号がついているものの、フレーズを見やすくする小節線や、スラーなどの記号はついていません。間すら止まらずに、常に一定のテンポで歩き続けているようです。
『プレイアデス』
同じ系統でもう一曲、こちらは打楽器6重奏の名曲『プレイアデス』です。
こちらはうって変わって、まばらなリズムが聞こえますね。この曲は先ほどのマス目のような楽譜ではなく、普通の楽譜上に書かれています。もちろんこのズレは楽譜にびっしりと表記してあり、奏者は秒数にして0.1秒もないようなズレでさえ、耳を使ってアンサンブルしていくわけです…。難易度が高いアンサンブルなので、最近ではひとりの奏者が6パート全部を収録して重ねた音源が発売されていたくらいです。
『プレイアデス』は全4楽章から成る曲で、それぞれサブタイトルがついています。
- 混合
- 金属
- 鍵盤
- 膜質
今回は、「Ⅲ. 鍵盤」をお聴きいただきました。
『プレイアデス』とはギリシャ神話の神々の名前であり、星団の名前だったりもするのですが、恐らくタイトルの意図するところはこの曲で使われる楽器の多さにあります。
中には普通には売っていない楽器を用意しなければならず、鉄パイプを切って、音程を微調整して、音が伸び〜るように工夫して…と、音作りから目と耳を凝らさないといけない楽章も。
そんな準備、演奏ともに手間のかかる『プレイアデス』ですが、近々演奏会があるようなので演奏会情報を載せておきます。関東圏にお住まいの方はぜひ足を運んでみてください!
■国立音楽大学 第47回打楽器アンサンブル定期演奏会
・会場:国立音楽大学講堂大ホール (交通アクセス)
・料金:1,000円(全席自由)
・曲目:Opening~鐘~ / 杉浦邦弘、2016年度国立音楽大学委嘱作品(世界初演) / 清水祥平、阿吽 / 小橋稔、Síppal, dobbal, nádihegedüvel / Ligeti György、Pleiades / Iannis Xenakis
・主催:国立音楽大学
・お問い合わせ先:国立音楽大学演奏課 Tel.042-535-9535
この演奏会は、プレイアデスを全楽章聴けるという魅力はもちろん、私から是非おすすめしたいのは『Síppal, dobbal, nádihegedüvel』というリゲティの曲が取り上げられていることです。
これは、歌と打楽器アンサンブルという編成なのですが、打楽器はもちろん、歌にもいろいろな発音や変拍子たくさんのアンサンブルを要求される作品になっています。曲自体まだまだ新しいものですが、これはなかなか日本で聴けないのでは…?
音楽大学のイベントは、こういったちょっとコアで珍しいものが聴けるのでおもしろいですね♪
ではまた次回お会いしましょう!
yucca
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