「吹奏楽指導に関わる仕事がしたい」と思っていた音大時代から今日まで取り組んでおいてよかった9つのこと

5:演奏会へ行く

恥ずかしながら、以前はあまり演奏会に行っていなかったのですが、去年から多くの演奏会へ足を運ぶようしています。まさかの出会いや再会があったりするのも演奏会へ行く楽しみです。

また、演奏会はアイディアの宝庫。

僕が「吹奏楽におけるコントラバスへの理解と発展を願って」というテーマで7カ月間書き続けていた『明日のためのレッスンノート』というレッスンブログの最終回は、いつか吹奏楽部の定期演奏会を指揮する機会があったら、アンコールにやってみたいと思っているアイディア(音楽に合わせてスクリーンにスナップ写真を流してゲームのエンディングのような感じにする)をメッセージに変えて少しだけ取り入れてみました。こちらも興味があればぜひ覗いてください(外部サイト)。

ノートを閉じる、その前に。『明日のためのレッスンノート 』を読んできてくれた、すべての人に伝えたい最後のメッセージ。

よかったこと

  • 演奏会での出会い、再会、そして人を通じた紹介がきっかけで盛んに活動している吹奏楽部の練習を見学させてもらうようになったり、そこから新たに交流が広がるという経験がありました

6:副科のレッスンを見学する

副科とは、音楽大学で専攻楽器のほかに実技を履修できる科目のこと。

副科としてコントラバスを履修している学生に対し、先生がどのようにレッスンしているかを見学していました。これによって、初心者指導の方法を勉強できました。

よかったこと

  • 第一線で活躍している先生が、どのように初心者を指導しているのを見ることができた
  • レッスンを見学して得たことが、自分が初心者講習会の講師としてレッスンをするときに役立った

7:スキルは実践の中で身につける

ここは人によって指導者としての定義が違うので意見が分かれるところですが、合奏指導に興味があったので、コントラバスのパート講師としてレッスンに行った際、「合奏も少し見てもらえますか?」と言われたら真っ先に引き受けていました。

はじめは、みんな合奏指導の経験もない。指揮もうまく振れなければ、スコアだって読めないところもあったけど、本当にやりたいのなら、断るのはもったいない。

合奏指導のスキルは実践の中で身に付けていこうと思ったので、とりあえずやってみる。そしてこれは当たり前のことかもしれませんが、事前にレッスンの曲がわかっていたら曲のエピソードを調べておくとなおよし。

よかったこと

  • 管楽器の息使いを弦楽器の弓使いにたとえてコントラバスを弾きながら合奏を進めてみるなど、思い立ったことをやっていくなかで自分のスタイルが見えてきた

8:仕事は待っていても来ないので「発信」する

ここも音楽家の定義が人によって違うので、音楽家が「発信」をすることにはいろいろな考え方があると思います。

ですが、今はSNSが身近な存在になり、誰もが発信者になれる時代。自分の手札を公開して、好きなこと、やりたいことを発信していくと、それに共感してくれる仲間が集まってくれるので、自分を知ってもらうよいきっかけになるのは確かです(見栄を張ったりかっこつけなければ)。

余談ですが、多くの学校の定期演奏会を聴きに行った感想として、SNSを使った発信がうまい学校は定期演奏会のお客さんも多い気がしました。

よかったこと

  • COSMUSICAをはじめ、吹奏楽情報誌での執筆や個人レッスン、ワークショップ、吹奏楽団の合奏指導の依頼をいただくきっかけになった

9:日常にあふれる「いいね」を集めて

学生時代に、レッスンや授業のなかで印象に残った先生方の言葉をメモするネタ帳を作りました。まだまだ理解しきれていないことの方が圧倒的に多いですが、レッスンの前に読み返したり、表現や言い回しの参考にしています。

よかったこと

  • なんとなくの知識としてストックして書いて、たまに読み返してみると、ある日突然「先生の言ってたことはこういうことだったのか」というときが来る!

指導者としてはまだまだこれから

いろいろと書いてきましたが、理想の自分は手の届かない遥か遠くにいて、吹奏楽指導者としてのスキルはたりないところだらけです。

よい指導をするには、奏者となってよりよい演奏経験を積むこと。そのためにはプレイヤーとしてのスキルアップが欠かせないと思っています。演奏現場でのインプット × 指導現場でのアウトプット、その逆もありです。

今回は、母校の定期演奏会で胸を打たれ、吹奏楽指導者になりたいと思って音大生の頃から取り組んできてよかったと思うことを書いてみました。もし、大学を卒業し、また卒業に向けて進路に悩んでいる人のお役に立ったら嬉しいです。

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千葉県出身。洗足学園音楽大学卒業。クラシック音楽を軸にコントラバス奏者として活動するほか「吹奏楽におけるコントラバスの理解と発展」に力を入れており、SNSを通し独学で練習に励む中高生に向けた発信をおこなっている。また「弦楽器の視点から見たバンド指導」をテーマに吹奏楽指導者として多くの学校で講師を務めている。昭和音楽大学研究員、ブラス・エクシード・トウキョウ メンバー。これまでにコントラバスを寺田和正、菅野明彦、黒木岩寿各氏に師事、指揮法を川本統脩氏に師事。趣味はアロマテラピーと釣り、ドライブ。