天使の弾いてる“アレ”は何モノなのか…? ハープの定義について考えてみた


こんにちは。ハープおばさんことノリコ・ニョキニョキです。

私はこれまで、じわりじわりとCOSMUSICAでハープの話題を取り上げ続けてまいりました。たとえば、グランドハープの弦の本数や調性の変え方などよくある質問をまとめた記事「意外と知られていないグランドハープのこと」だったり、ハープ独奏は意外と聴いたことがないという方が多いと思い、「名曲揃い! ハープ独奏曲を作ってきた偉大なハーピストたち」を書いたり…。

これらはすべて「ハープ=グランドハープ」という前提で書いたもの。ですが、もしかすると読者の中には「ハープ」と聴いてこんなものを思い浮かべる人もいるのではないでしょうか?

「あれでしょ?天使が弾いてるヤツでしょ?」

確かに、これもハープとして認識されていますよね。いったい何をもってその楽器は「ハープ」と呼ばれるのでしょうか? 今日はそんなことを考えていきたいと思います。

「ハープ」とはなんぞや

調べてみたところ、どこからどこまでをハープと定義するかという議論は諸説あるようです。ここでは2つの定義を紹介します。

1) 構造・奏法による定義

1.  弦が2本以上あり、
2. 弦を固定して共鳴する共鳴体を持ち、
3. 弦を押さえないで、はじく、または叩く、弓で弾いて音階を出す

参考:ハープ情報サイト「ハープ&チター」

2) 弦と響板の位置関係による定義

弦と響板が垂直である(ハープ族である)

※すべての弦楽器は、ツィター族とハープ族に分類することができる。
ツィター族:弦と響板が水平な楽器(ギター、ヴァイオリン、琴など)
ハープ族:弦と響板が垂直な楽器(ハープ)

参考:高田ハープサロンHP「ハープの歴史」

これでいうと、さきほどの私のイラストにある楽器は、定義1にあてはめた場合は「ハープである」となり、定義2にあてはめた場合は「ハープではない(ツィター族なので)」となります。うーん、やっぱり意見はわかれそうですね。

ちなみに私のイラストではかなりあやふやで、弦と響板の関係性がわかりにくいと思うので補足しますが、天使が奏でている“アレ”はおそらくライアーという楽器だと思います。『千と千尋の神隠し』で歌手の木村弓さんが弾き語ったことで一躍有名になりました。現代では、イラストに描いたような「水瓶型」は普及しておらず、もっと響板を大きくしたものが演奏されます。

写真を見ていただくと、弦が響板と水平であることがわかりやすいかと思います。

ハープ族の中でも…

さて、ハープの定義については意見がわかれるということなのですが、やはり確実に「ハープ」と呼べるものは、前述の「ハープ族」に当てはまるものなのかもしれないですね。

ここからは、ハープ族の中でも地域によって全然違う発展を遂げた3つの「ハープ」を紹介します。

アイリッシュハープ

手前は、膝のりサイズの「サウルハープ」

ペダルがなく、楽器上部についたレバーで半音操作をおこなうアイリッシュハープ。

ヨーロッパでは10世紀ころからアイルランドやウェールズに現われ、吟遊詩人(仏のトルバドゥール、英のミンストレル)によってヨーロッパ大陸に広まっていきました(高田ハープサロン「ハープの歴史」より)

とのこと。13世紀のアイルランドでは特に盛り上がりをみせ、現代にいたるまで、朗読や歌の伴奏など身近な存在として愛されてきました。グランドハープとはまた違った音色を持っていて、個人的には、どことなく神秘的な響きを持っているなあと感じます。

グランドハープ

レンタルしているセミグランドハープです

一方、フランスではクラシック音楽の発展とともに、転調に対応できる楽器が求められるようになってきました。ハープはそれまで、全音階(ピアノでいう白鍵の部分だけ)の楽器だったため、弦の数を増やしたり、ペダルをつけてみたり、紆余曲折しながら進化を遂げていきます。

現在のグランドハープの仕組みが完成したのは、なんと19世紀になってから。想像以上に新しい楽器だと思いませんか?

くどいようですが、グランドハープについてこれまでまったく関心を抱いてこなかったよ、という方はぜひこちらの紹介記事を読んでみてくださいね♪

▶︎意外と知られていないグランドハープのこと

アルパ(ラテンハープ)

最後に紹介するのが、アルパです。アルパとは、スペイン語でハープのこと。中南米のハープ全般をアルパと呼ぶそうです。

パッと見は「エキゾチックなハープ」という感じなのですが、奏法は本当にヨーロッパのそれとは全然違うんです。なにが違うって、もう、決定的に違うのが、クラシックのハープは指の腹で弦をはじくのに対し、アルパは弦を爪ではじくんです!!!

クラシックのハープ奏者はこまめにせっせと爪を切るのに対して、アルパ奏者は爪を強化するためにジェルネイルをする(人も多いと聞いています)…。これはもう衝撃的な違いです。

それから、クラシックのハープではC(ド)に赤い弦、F(ファ)に青い弦が張られているのに対し、アルパではC(ド)に青い弦、F(ファ)に赤い弦が張られているらしい…。

あと調律に関しては3種とも違うのですが、

アイリッシュハープ…Es dur(変ホ長調)
グランドハープ…Ces dur(変ハ長調)
アルパ…F dur(へ長調)

となっているようです。なんだか、混乱してきました…。

奏法もいろいろと違うのですが、アルパについては見たことも触ったこともないので、ここでは私の大好きな奏者さんの動画を貼り付けることで紹介にかえたいと思います。

 

表現力が豊かですばらしいのです。このChikaさんという方は福岡で活動されているとのことで、直接拝聴できたことはありません。いつか生音で聴いてみたいと願う日々です。

せっかくの機会なので一押しの動画も載せちゃおう。

演奏中にほほえむのがめちゃくちゃかわいらしいんです。

 

と、最後脱線気味でしたが、今日はいつもとは違った切り口でハープについて取り上げてみました。みなさんが少しでもハープに興味を持ってくださったら、嬉しいなあ。


ABOUTこの記事をかいた人

ノリコ・ニョキニョキ

COSMUSICA編集長。1989年イギリス生まれ。東邦大学医学部医学科中途退学、東京芸術大学音楽学部音楽環境創造科卒。週末を楽しみに日々ライティング業に勤しむ普通のOL。2016年6月20日にCOSMUSICA立ち上げ。ハープ修行中。