ベルリン便り Vol.10 ~海外の「今」と渡航時に気を付けたいこと~

みなさん、こんにちは。あきこ@ベルリンです。

最近よく、留学や旅行を考えている方々から、「そちらの治安はどうでしょうか…?」というご質問をいただきます。みなさんご存じのとおり、先日私が住んでいるベルリンでも、悲しい事件が起きました。犠牲になられた方々のご冥福と、被害にあわれた方々の一日も早い快復をお祈りします。

事件が起きた場所は、私も普段よく行く場所でした。事件について知ったときはもちろん衝撃的ではありましたが、「ついに来たか。」と思ったのも事実です。

日本と比べたら、どこも治安が悪いです。財布や携帯を落としたら帰ってくる、電車で居眠りをしても何も取られない、食堂で席を取っておくのに机の上に携帯を置いていけるような国はほかとありません。

とはいえ、事件に巻き込まれる可能性ばかり考えていては家から一歩も出られません。それよりは、日本よりは少し危ないと認識したうえで、より注意をしたり準備をしたりしておくことが重要ではないでしょうか。

今回は、私がこちらで気をつけている点を少しご紹介したいと思います。

海外渡航時に気を付けたいこと -日常編-

道を歩くときなど、日常的に気を付けていることは主に 3 つあります。

①周りにより注意するようにする

言葉や性格など、相手のことがさらによく分からないのが外国。電車の中でも、道を歩くときでも、普段以上に気を付けることが重要です。歩きスマホをしたり、音楽を聴きながら電車に乗るなど、わざわざ注意力を減らすような行為は避けましょう。また、周りにどんな人がいるのかを把握することも大切です。普段から駅のホームなどで現地の方々と少し言葉を交わすように心がけるのも良い方法です。

②隙を与えないようにする

“言うは易しおこなうは難し”ですが、現地人のごとく振舞ってみることも意外と役に立つものです。過信はいけませんが、自分はここを知っているという雰囲気は相手に隙を与えるのを防ぎます。あきらかに観光客に見える人は狙われやすいです。そのほかにも、かばんのファスナーを開けっぱなしにしない、道を確認したりするときは真ん中で立ち止まらずなるべく壁際に立つ、などといったことも重要です。

③どこにいるのか、知っている人を作るようにする

Facebookなどで大々的に書くことは空き巣を狙われることにつながりかねませんが、海外に渡航する際には家族や親しい友人などに行き先を告げておくようにしましょう。また外務省は、海外渡航者への緊急時情報提供のために、3 ヶ月以上海外に滞在する方は在留届の提出を、3 ヶ月未満の場合は「たびレジ」への登録を推奨しています。渡航先を登録しておくと、渡航先の情報から緊急時の連絡まで、さまざまなサービスを受けることができます。海外渡航を検討されている方は、外務省:海外安全ホームページと併せてぜひ一度ご覧ください。

海外渡航時に気を付けたいこと ―荷物編―

最近海外で非常に増えているのが、スリ・置き引きなどの盗難。楽器の盗難も、以前よりかなり頻繁に聞くようになりました。楽器と旅行するときは特に気を付けるようにしましょう。電車に楽器を忘れたらほぼ返ってきません。私は以下のようなことに気を付けています。

①楽器を肌身離さない

ヴィオラ、という大きくも小さくもない楽器だから可能なことではありますが、長距離列車でお手洗いに行くときも、できるだけ持っていきます。汚くなる…とも思うけれども、背に腹は代えられません。先日は隣に座っていらした方にお願いをして、楽器を持たずに行きましたが、それでも怖かったです。

また、荷物棚に乗せるくらいならばもう一座席取って自分の横に置くようにしています。スーツケースは荷物棚に置いても、楽器は必ず目の届くところに置きます。私は、寝入ってしまったときのために、自分が通路側で楽器を窓側に置く、他の荷物と肩紐で結び付けておくなど、念には念をいれています。もしレストランなどで楽器を足元に置かなければならない場合は、足の間に挟むなり、常に体のどこかに楽器が触れておくようにしましょう。

②こまめに持ち物を確認する

ポケットに入れておいた携帯電話が滑り落ちていないか、貴重品は入っているかなどを、より頻繁に確認するようにしましょう。特に電車の乗降時、買い物後などは慌てがちです。また、かばんのファスナーが閉まっているかどうかも要注意です。開いていたら何か盗まれているかも…?

先日日本に帰ったとき、鞄のファスナーを開けたままでも道を歩けることに少し妙な気分になりましたが、こちらではそんなことは絶対にできません。

③持ち物の数を頭に入れておくようにする

長距離を旅する際は、荷物も増えがちです。自分がいくつ荷物を持っていたのか(楽器、ハンドバック、リュックで 3 つなど)覚えておくと混乱せずにすみます。


少々おせっかいな記事になりましたが、昨今のヨーロッパの情勢を受けて、ぜひみなさんに知っておいていただけたらと思ってこのテーマで書きました。海外渡航時は、「日本とは大いに違う」ということを頭に置いて、普段の 2 倍以上注意して、10 倍以上楽しい旅にしましょう。

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あきこ@シュトゥットガルト

5歳よりヴァイオリンを、13歳よりヴィオラを始める。東京藝術大学卒業、ベルリン芸術大学修士課程卒業。ベルリン・ドイツオペラのアカデミーを経て、現在はシュトゥットガルト・フィルハーモニー管弦楽団に在籍。