ベルリン便り Vol.9 〜クリスマスの音楽たち〜


みなさんこんにちは、あきこ@ベルリンです。

もーういーくつねーるーと…お正月も来ますが、まずはその前にクリスマスです。ドイツでは、クリスマスは家族と過ごすものであり、日本のお正月くらい大切な日です。国外にいるドイツ人たちも多くが家族の下へ帰ります。

ここのところ、零下になるような日もあるベルリンですが、クリスマスマーケットなどで寄り添うようにみんなで歩いている家族を見ると、クリスマスとは本来こうして心が暖かくなるものなのかもしれない…と思います。

christmasmarket

世界最古、ドレスデンのクリスマスマーケットの様子。広場に小屋が立ち並び、食べ物や飲み物(グリューワインなど)、ろうそくや小物などたくさんのものが売られています。

さて、日本では、クリスマスや年末が近づくと、ベートーヴェン作曲交響曲第9番「合唱付」、通称「第九」が非常によく演奏されます。e-plus 「第九」特集サイトによると、第九が演奏される演奏会は、12月後半だけでも日本各地で40以上あるそうです。

これだけ日本で大人気な第九、作曲家ベートーヴェンはドイツ生まれ、ベートーヴェンが4楽章に引用した詩も、ドイツの詩人シラーによるものですが、ドイツではこの時期ほとんど演奏されません。この作品はどちらかといえば平和へのメッセージと捉えられているので、東西ドイツの統一記念日(1990年10月3日)ベルリンの壁崩壊の日(1989年11月9日)といった機会に演奏されることが多いです。

imageベルリンのポツダム広場にある、ソニーセンター内のイルミネーション。イルミネーションの上、特徴的な円錐形の屋根は、ベルリンの富士山とも呼ばれています。

 

それでは、ドイツではこの時期どんな作品が多く演奏されているのでしょうか。

J.S.バッハ:クリスマス・オラトリオ BWV248

キリストの生誕を待ち望むこの時期(待降節/アドヴェント)、ほぼ毎日のようにどこかで演奏されているのが、J.S.バッハ作曲クリスマス・オラトリオ。ドイツにいる音楽家で(プロアマ問わず)、この曲を人生で一度も弾かない人はいないだろうと言われているくらい、よく演奏されています(編成外の楽器の方は別ですが…)。

この曲は、キリスト生誕の喜びや、それにまつわる新訳聖書の部分を元にした、全 6 部 64 曲からなる宗教曲です。前半、第 1 部から第 3 部まではキリスト生誕の預言、羊飼いへのお告げ、キリスト生誕の夜について、後半は、イエスの命名(第 4 部)、羊飼いの訪問(第 5・6 部)となっています。

本来は 6 部をクリスマスから1月6日までにある休日(全6日)に演奏するために作られたそうです。一曲一曲がとても短く、全部で2時間半程度なので、今では一晩の演奏会でまとめて演奏されることがほとんどです。

チャイコフスキー:バレエ『くるみ割り人形』

ロシアの作曲家チャイコフスキーの 3 大バレエのひとつ、『くるみ割り人形』は、ドイツの童話『くるみ割り人形とねずみの王様』が元となっており、12 月、特に子供連れの家族に大人気です。

クリスマスイブの夜にくるみ割り人形をプレゼントしてもらった少女クララが、クリスマスツリーの下に寝かせたくるみ割り人形を真夜中に見にくると、はつかねずみの王様が部下を引き連れていたずらをしにやってくる。それに対抗するくるみ割り人形率いる兵隊人形たちだが、ねずみたちに追い詰められてしまい、あわやというところでクララがはつかねずみを退散させる。すると、倒れていた人形が王子様になり、クララをお菓子の国へと案内し、お菓子の妖精たちが歓迎する。

夢見る女の子にはとてもワクワクするお話ですね。それが素敵な衣装や舞台美術とともに踊られるとなると、魅力も倍々増!私が弾いているベルリン・ドイツ・オペラでも、ベルリン国立バレエ団による公演がたくさんありますが、毎公演売り切れています…!

プッチーニ:オペラ『ラ・ボエーム』

イタリアの大オペラ作曲家のひとり、プッチーニが作曲したオペラ『ラ・ボエーム』も、1・2幕ではクリスマスイブのパリが舞台になっており、この季節によく上演される作品です。

パリの屋根裏部屋に住んでいる若き芸術家たち。その中のひとり、詩人のロドルフォが、ひょんなことから隣の部屋に住んでいる病気がちのお針子ミミと知り合い、クリスマスイブに恋に落ちる。
翌年2月、ロドルフォの冷たい態度に不安を抱くミミだが、ロドルフォが友人たちに、ミミの胸の病気の治療は自分の稼ぎではできないから、彼女が自分から離れられるよう冷たくしていると言っているのを聞いてしまい、彼をこれ以上苦しめぬようお金持ちの下で世話になることを決心。
数ヶ月後、ロドルフォのところにミミが訪ねてくる。自分の最期を悟ったミミは、一目でもと思い、彼を訪ねたのだった。寒い屋根裏部屋で、ロドルフォや芸術家仲間たちに暖かく見守られ、ミミは息を引き取る。

…という、クリスマスに観るにはなんとも切ないオペラですが、音楽もとても綺麗で、非常に愛されている作品です。

 


今年はもう遅いかもしれませんが、来年以降、クリスマスシーズンにドイツにいらっしゃる際には、クリスマスマーケットのみならず、このような作品を鑑賞してドイツのクリスマス気分を味わってみるのはいかがでしょうか?