【音楽科教育】音楽をもっと好きになってもらうための「選択音楽」の授業


今年もそろそろ終わりに近づいてきましたね。この時期、高校では来年度の選択授業についての説明会などをおこなう学校なども多いのではないでしょうか?

そこで今日は「選択授業、担当することになったらどうしよう?」といった不安を秘めている若き音楽科の先生方に向けて、必修よりも選択授業を担当するのが好きなわたくし、じゅあんが、高校での選択音楽の授業について、ご紹介していきたいと思います!

高校の「選択音楽」とは?

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高等学校学習指導要領によれば、音楽科以外の高校では「芸術科」の中から選択科目として「音楽Ⅰ」を履修することになっていますが、以前掲載した記事「高校で音楽を履修して良かったと思う人の割合は?本音丸見えアンケート結果」によると、実際には必修を含め多様な履修方法が取られているようですね。

「音楽Ⅰ」の単位取得後に履修可能となる「音楽Ⅱ」「音楽Ⅲ」は、履修者が次第に減っていくと同時に、音楽への興味や感心が高い生徒が履修する可能性が高いわけです。

学習指導要領によれば「音楽Ⅰ」では「歌唱」「器楽」「創作」「鑑賞」の各活動がかたよることなく、それらが関連しあった指導が求められていますが、「音楽Ⅱ」では「歌唱」「器楽」「創作」からひとつ以上を選択し、加えて鑑賞と関連させる活動へ。そして「音楽Ⅲ」では上記 4 つの活動からひとつ以上を選択すれば良いとされているため、興味ある音楽活動に焦点を絞って、学習を深めていけることが、選択授業の魅力のひとつといえます。

クラスの様子をリサーチする

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教師にとっては、活動や内容が自由になるからこそ、選択音楽の担当になると何をしたらいいのか頭を悩ませることも少なくないはずです。こんなふうに言っている私もかつてはとても悩みました。しかし、複数の科目の中からあえて音楽を選択してくれた、意欲ある生徒たちの学習意欲を下げてしまうのは絶対に避けたいことですよね!

まずは生徒の様子をリサーチしましょう。初めの授業での自己紹介やアンケートから、授業に対してどのような期待や希望を持っているのかを調査します。また「歌うことが好きか」「ジャンルはどんなものが好きか」といった音楽活動そのものや、「活発な子が多い」「じっくり音楽に浸りたい派が多い」といった生徒の実態を教師側がつかめるように、常にアンテナを張りながら授業をおこなっていくことも大切です。

ではここで、私が実際におこなった選択授業の例を、2つご紹介させていただきたいと思います!

実践例 1:クラス内コンサートを開く

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演奏が好きな生徒たちだったら、おすすめなのはコンサートの開催。学期に一度くらいの割合で、お互いの演奏を聴ける発表の場を作ります。提案すると初めは「え〜!」「イヤだ〜」といった声があがるかと思いますが、基本的に音楽が好きな生徒たちなので、本当は演奏したい様子です(笑)。学期末(初回)は少人数のグループに分けて発表し、学年末にはソロでの発表を提案すると良いと思います。

その際はプログラムノートの作成もおこないます。プロの演奏家のコンサートでも必要なものであることを伝え、作品については図書館やインターネットを利用しながら調べて、書くことを指導します。かなり時間を使うことになりますが、回数を重ねると音楽作品についてしっかり書くことができるようになります。プログラム自体の作成は教師側がおこなうと良いでしょう。

実践例 2:生徒が音楽をプレゼンテーション

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いろいろなジャンルの曲を演奏しても、鑑賞しても、イマイチ物足りなそう…。そんなクラスでは、おすすめしたい曲のプレゼンテーションをしてもらいました。「自分にとってどれだけこの音楽が魅力的か!」というのを本人の口で伝えてもらうのです。自分が選曲したCDやDVDをみんなで鑑賞したり、楽譜を配って演奏してみるといった活動を入れてもOK。自分の好きな音楽がみんなにどれだけ共感してもらえるか⁉︎ ということにチャレンジしてもらうのです。

選曲に際してジャンルは問いませんが、私は教科書の中からでもいいので、必ずクラシック作品をひとつは選曲することを条件に入れました。選曲数も特には決めませんが、ここで注意しなくてはならないのが授業時間内に収めること。発表内容や時間については、担当する生徒と事前に打ち合わせをして、時間内に収まるように準備します。

選択音楽だからこそできること

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先にも書きましたが、選択音楽は複数の科目の中から音楽を選んでくれた生徒から成り立つ科目です。教師側としては通常授業よりも準備時間はかかりますが、卒業したあとも「この授業、取って良かったな!」と思ってもらえることが最終的な目標です。

ほんの一案ではありましたが、参考にしていただけたら幸いです。


ABOUTこの記事をかいた人

国立音楽大学附属高校音楽科を経て国立音楽大学卒業。その後、ピアノ・ソルフェージュの指導をしながら都内私立高校音楽科講師。(株)厚木楽器にて音楽芸術コース・ソルフェージュ科講師。2016年3月東京学芸大学大学院教育学研究科音楽教育専攻修了。