進め! ヴァイオリンおけいこ道 第18回「楽譜の書き込み」

今週もおけいこ道のお時間がやってまいりました。ヴァイオリン弾きの卑弥呼こと原田真帆がお送りいたします。

本日は、楽譜の書き込みについて考えてみたいと思います。

書き込みは多いほうがいいの?

レッスンや練習の中で、楽譜に書き込みをすることがあると思います。覚えておきたいことをメモする作業は、記憶のためにも大切です。

しかし、「書き込んだ」という事実に満足して終わってしまうという危険性があることも無視できません。

たとえばこんな楽譜に出会うことがあります。


これでは元の音符が読めませんね。暗譜しているからでしょうけれど、暗譜したあとだって何度でも音符を見つめ直すべきです。


学校での板書もそうですが、多色取り揃えることに一生懸命になってしまうといいますか、よくまとめたなぁ、という気持ちになることは、すこし危険だと思います。

では、黒一色ならよいのかと言うと……

鉛筆だけでも、こんなにすごい譜面を作れるのか、と正直驚かされました。

楽譜の余白にあるもの

楽譜というこの書物の中で、もっとも重要な情報を担うのは音符です。そして五線の、音符と音符の間にこそ、作曲家の想いや表したいことが込められているとわたしは考えます。

ですから、楽譜の余白は、余白であって、余白でないような気がするのです。

また、演奏はナマモノなので、毎度同じものを再現できるわけではないし、同じくある必要もありません。

ああこれは、音価やテンポを楽譜と違うことをしてよい、という意味ではありませんよ。その歌い回しやニュアンスが、毎回異なってくるよね、という意味です。

特にわたしは書き込みが少ないタイプだからとは思いますが、たくさん書き込むということはそれだけ束縛を増やしてしまうような気がします。

多く書き込めばそれだけ紙の上に情報が増えて、大切な情報が埋もれてしまう危険性もまた否めません。

色づかいもしかり。た目には楽しいけれど、実用性を考えると少々見づらいのではないでしょうか。

でも、音楽に色のイメージを持つことは、表現を豊かにすると思います。色を変えることに夢中にならずに、その書き込みは譜面の上の音楽を尊重しているか、音楽の内容に沿っているか、考えてみてほしいなと思います🌈

用法・用量を守って

楽譜の書き込みは、五線の中の音楽を引き立ててこそ、その力を発揮できます。先生に新しいことを言われた➡️楽譜に書いた➡️オッケー、ではなく、その書き込みの内容を練習の中でかみくだき、自分のものにするプロセスを大切にしたいです。

最後に少しだけ、わたしの楽譜を……まずは失敗例から。

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バッハのフーガの楽譜です。声部を明確にしたくてカラーペンで色をつけたところ、その線の太さが五線や加線と一致してしまい非常に見づらいことに。これをするならずいぶんと芯が丸くなった色鉛筆がオススメです。この手のインクは時間が経つと消えることもありますしね。

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別のフーガでは色分けしませんでしたが、それで充分というか、まぁ色いらなかったなって思いました。

でも、たまにこんな落書きもします。

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フェルマータは伊語でバス停です

 


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ABOUTこの記事をかいた人

原田 真帆

栃木県出身。3歳からヴァイオリンを始める。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校・同大学器楽科卒業、同声会賞を受賞。英国王立音楽院修士課程2年在学中。第12回大阪国際音楽コンクール弦楽器部門Age-H第1位。第10回現代音楽演奏コンクール“競楽X”審査委員特別奨励賞。佐々木美子、山﨑貴子、澤和樹、ジェラール・プーレ、小林美恵、ジャック・リーベックの各氏に師事。弦楽器情報サイト「アッコルド」、日本現代音楽協会HPにてコラムを連載。