現代音楽のあるあるな記譜たち

こんにちは。この連載も早いもので 5 回目となりました。

いつも通り曲のご紹介…をしたいところですが、今回は現代音楽の楽譜の「あるあるな記譜」にせまってみようと思います。

時代も音楽も従来のクラシック音楽から離れていく現代音楽、もちろん記譜法も従来のものでは収まりきりません。どうも一説によると、1960 年代後半までは作曲者と作品の数だけ記号があるとか言われていたみたいです。今では、同じ奏法でも作曲家によって大きく記号が違う、なんてことは少なくなりましたが、まだまだ完全に統一されているとは言えない状態です。

他にも、複雑な指示をちょっとでも伝わりやすくするために、作曲家たちがいろいろな工夫をして楽譜に書き記しています。そんな楽譜の世界をちょっとのぞいてみましょう。

現代音楽の記号の世界

・微分音

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大体の曲ってドレミファソラシと、♯や♭の記号で書かれています。しかしこの記号はさらに微妙なピッチを出したいとき、例えばドと♯ドの間くらいを鳴らしたいなーというときに、とっても役立ちます。写真の記号は四分音といって、4 分の 1 だけピッチをずらすという意味です。

例えば♯だと半音上がりますが、四分音のシャープだと半音のさらに半分、つまりは半々音だけ上げる、といったところでしょうか。ほかにも六分音、八分音などの仲間がいます。

・秒数指定のフェルマータ

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このフェルマータ、いつも見かける丸いフェルマータと違いますね。この形が出てくると、たいてい秒数指定があるか、やたら長いフェルマータをするよう指示があります。

・クラスター

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音楽室のピアノで一度は聞いたことがあると思います。無邪気な小学生がたくさんの音を一度に弾こうとして、腕を目いっぱい使って鍵盤を押さえ、とんでもない音を出すアレです。立派に「クラスター奏法」なんて名前がついてるんですよ。

この画像の場合、もしヘ音記号だとしたら下のドから上のドまでを一気に腕で押さえて音を出します。そして♮がついているので白鍵だけを使います。

変えすぎ! やりすぎ! 細かすぎ!

・拍子が変わりすぎ

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おなじみ 4/4 から足し算をしている拍子まで、楽譜上のいたるところに拍子が書かれております。変拍子は一見難しそうなのですが、意外とノリが良かったり楽しいリズムのものも少なくはないので、私は大好きです!

・小節線はどこだ

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普段、五線の中にある縦線って、小節を区切ってくれるものですよね。しかし弦楽器や、何かしら音を伸ばす打楽器の譜面で、このように拍をわかりやすくしてくれている譜面をよく見ます。個人的には小節線なのか拍なのか一発で見分けづらいので、ついつい図のように三角形などを書き込んでわかりやすくしてしまいます。

・とにかく細かい

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32 分音符や 64 分音符が、4 分音符や 8 分音符のノリで出てきます。今手元にあった譜面をさっと確認したのですが、32分音符に関しては3 冊中 3 冊に登場していたので、割とスタンダードな扱いなのかもしれません(?)。また 5 連符・7 連符も常連さんです。

そして音符を超えた

・もはや説明が絵

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楽譜は手書きのものも多く、絵で指示が書かれていることも。楽譜の複雑さゆえに手書きのほうがいい仕事ができる、なんてこともありです。

こちらはジェラール・グリゼイ(Gerard Grisey )という作曲家の曲「音響空間」の譜面なのですが、ゆるキャラのようなかわいい絵が登場。

ちなみにこの盾みたいな絵はシンバルを表しています。左から順番に「緊張する」「見る」「びっくりする!」と書かれており、一連の流れを絵で想像しやすくなっていますね。それにしても、「緊張する」のところの顔が、まったく緊張していなさそうに見えるのは気のせいでしょうか。


「ちょい聴き」と題したこの連載ですが、たまにはこんな回があってもいいかなと思い書いてみました。いかがでしたでしょうか?

次回は普段の「ちょい聴き」に戻り、現代音楽より少し前の時代である「新ウィーン学派の音楽」について書いてみたいと思います。お楽しみに!

ABOUTこの記事をかいた人

yucca

小学4年生のとき入った金管バンド部で、「きみには絶対音感があるから、移調楽器は出来ないと思う」という顧問の計らいにより打楽器を始める。国立音楽大学打楽器専攻卒業。