ベルリン便り Vol.6 ~オペラ専門のオーケストラ~


みなさん、こんにちは。あきこ@ベルリンです。

ベルリンはこの頃ぐっと気温が下がり、空がどんよりし始めました。こういう天気になってくると、もう秋(冬?)だなぁと思います。アカデミーのお仕事があると、劇場の中で一日を過ごして帰る頃にはもう外が真っ暗、なんてことも。笑

さて、今回タイトルを「オペラ専門のオーケストラ」としたのは、実はドイツにはさまざまなタイプのオーケストラがあるから。今日はそれらを紹介していきたいと思います。

ドイツの多種多様なオーケストラ

オーケストラと聞いて、みなさんはまずどんなものを思い浮かべますか? 交響楽団、管弦楽団、フィルハーモニー・オーケストラなど…、舞台上で演奏する音楽家の集団を思い浮かべる方がほとんどではないでしょうか。

ちなみにこれらは、名前は違えどすべてオーケストラを指します。

「大辞泉(小学館)」によると、

交響楽団:交響楽を演奏するための、大編成の管弦楽団。シンフォニーオーケストラ。
管弦楽団:管弦楽を演奏する団体。オーケストラ。

ということで、しいて違いを言うならば、厳密には交響楽団の方が管弦楽団より少し大きいようです。フィルハーモニーは、オーケストラの呼称だそうです。

さて、ドイツでは、普段ほぼ舞台上で演奏するオーケストラに加え、放送局のバックアップを受けていてテレビやラジオなどに関連した演奏会もおこなう「放送交響楽団」、そして私もアカデミー生として参加している「歌劇場(オペラ)に所属するオーケストラ」などさまざまな種類のオーケストラがあります。なかには、「映画音楽専門のオーケストラ」もあるのですよ。

いわゆる一般的なオーケストラが交響曲に特化しているとすれば、「オペラ・オーケストラ」はオペラに特化したオーケストラ。ある意味では効率的に役割分担しているわけですが、別の言い方をすればそれぞれがそれぞれの専門に対して誇りをもってやっているわけです。

たくさんの公演数をこなすために…

ベルリン6-2

私たち、オペラ・オーケストラのスケジュールはとてもハード。今晩はAオペラ、明日の朝はCのリハーサルで夜はBの公演、なんてことは日常茶飯事です。そう、毎晩違ったオペラが上演されているのです。このことについてはまた追って詳しく書きたいと思いますが、日本のように、数日まとめてA公演・B公演ということはあまりありません。

うちのオペラでは、年間約 40 のオペラを用意しており、シーズンの公演日数は約200日にものぼります。オペラは上映に時間もかかりますし、これほどの公演数と全部の作品についてじっくりリハーサルをすることはできません。

「プレミエ」と呼ばれる、新演出または初演のオペラについては 1〜2 週間かけてリハーサルをおこなうのですが、上演が数年ぶりというもので 3〜5 回するかしないか、過去に上演したことがあるものでは 1 回だけということもあります。毎シーズンやっているオペラにいたっては、もはやリハーサルがありません。

リハーサルがないオペラは、私たちのような新参者にとっては大きな試練。ただでさえ、オペラは長いし歌手の歌い方がわからないしで大変なのに、公演になるとオーケストラピットに入り、経験豊富な方々に囲まれて、「はい、がんばってね^^」となるわけです。もう、必死です。

そうは言っても、長年いらっしゃる団員さんはもう飽きるほど弾いていらっしゃるわけですし、みなさん顔色ひとつ変えずにすいすいーっと弾いていかれます。そんな様子を見ると、みなさんオペラを演奏することに非常に誇りを持っていらっしゃるのだなぁと思います。

まだまだある! オペラ・オーケストラの特徴

opera02

先日、うちのオペラの公演に、他の一般的なオーケストラの方が賛助でいらしたことがありました。

彼らはいつも交響曲などを弾いており、楽器を存分に鳴らして演奏します。それに対して私たちは、いつも歌手に合わせて演奏するオーケストラ。存分に鳴らしてしまうと歌手の歌声を消してしまうので、100%で弾くことはあまりありません。あまり意識していませんでしたが、意外なところで弾き方の違いがあるものです。

また、同じくうちのシンフォニー・コンサート*に賛助の方がいらしたとき、その方が「とてもいい雰囲気だけれど、舞台上ではちょっと緩すぎるのでは?」とおっしゃったのが印象的でした。

私たちは普段客席から見えないところにおり、また長時間演奏するので少し和やかな雰囲気があるのですが、舞台には舞台の見せ方があるのだなぁと思いました。

*シンフォニー・コンサート:普段はオーケストラピットに入り、客席からほとんど見られることなく、舞台の下の…でなくて縁の下の力持ちな私たちですが、ときどきオーケストラだけの演奏会もおこなっています。それが、シンフォニー・コンサート。オーケストラによって有無や回数はさまざまですが、うちでは月に一回ほどあります。


実は、日本にはオペラ劇場に所属している専門のオペラ・オーケストラがまだありません。さまざまなオーケストラが、演奏会の合間にオペラの公演も担当しています。

西洋音楽の地ならではのオペラ・オーケストラ。なかなかハードですが、専門性を極められることはとても貴重だと感じながら、日々修行しています。


ABOUTこの記事をかいた人

あきこ@ベルリン

5歳よりヴァイオリンを、13歳よりヴィオラを始める。東京藝術大学卒業。 現在、ベルリン芸術大学修士課程に在籍中。また、ベルリン・ドイツオペラのアカデミー生として研鑽を積んでいる。