筋肉むきむきってほんと? ナゾに包まれた打楽器奏者を質問攻めにした

みなさん、頭の中にオーケストラを思い浮かべてみてください。
指揮者が棒を振ると魔法のように奏でられる音楽。ヴァイオリンの旋律や甘く響くホルン、心地よいコントラバス、どの楽器も大事な役割を持ってその楽曲を支えていますよね。

盛り上がりにむけて指揮者が合図を出すと、奏者たちは一体となってクレッシェンド、そしてバァーン!ドゴーン!

いいですよね、打楽器。

 

はい、ということで今日は打楽器奏者に注目して参ります!(前置きが長い)

のだめカンタービレでも「ますみちゃん」という強烈なキャラクターが打楽器を担当していましたが、実際の打楽器奏者はどんな方がいるのでしょうか?

今日は、打楽器奏者の野崎めぐみさんにお話を伺います!


野崎めぐみ(のざき・めぐみ)

野崎めぐみプロフィール画像

千葉県出身。東京藝術大学音楽学部器楽科卒業。12歳より打楽器を始める。打楽器を藤本隆文、藤田浩司、野中美千代、松倉利之、高田みどり、の各氏に師事。高校卒業後、キューバに短期滞在し、スネア・ドラム・コンガ・ダンス・歌のレッスンを受け、キューバ音楽と打楽器演奏の習得に努める。現在はテレビCM、アニメ劇中音楽などのレコーディング参加、SEKAI NO OWARIや河村隆一、夏川りみのコンサートの他、SHINee東京ドーム公演でのバックオーケストラに参加。自身の演奏活動に加え、千葉県吹奏楽連盟主催アンサンブルコンテストや個人コンクールの審査員などを務めるなど、中高生の吹奏楽指導にも力を入れている。


打楽器奏者への道

−まず最初に、打楽器奏者を志したきっかけを教えてください。

「私もそうなんですけど、打楽器始める人で一番多いのはやっぱり吹奏楽部から始めたという人です」

−完全にイメージなんですけど、「打楽器やる人いないな〜なんかあなた打楽器ぽいからやって!」みたいな感じでなってそう

「それ実際にあって! ほんとに最初はアルトサックスやりたかったんですけど、私の兄がドラムをやってたということもあって『お兄ちゃんドラムやってるでしょ? 打楽器やりなよ!』っていう感じで打楽器になりましたね…(笑)」

−そこから本格的に学びたいと思ったのは別のきっかけがあったんですか?

「部活がほぼ毎日あってずっと音楽のある生活だったので、ふと進学について考えたときに、音楽から離れたくない、プロとして音楽をやっていきたいと思いました。そこでたまたま、先輩が芸大を受験するって耳にしたんです。で、それだ! と思いました」

−芸大受験するって言ったとき、家族やまわりの反応はどうでしたか?

「『ほんとに…?』って(笑)」

芸大受験

−受験するとなったら、まず何を準備したんですか?

「当時習っていたドラムの先生が芸大出身の先生だったので、その先生のご紹介で、受験に対応してくださる先生にも習い始めました。そしておすすめしてもらった小太鼓を買って毎日練習です」

−音がすごく大きそうですが、練習はお家で?

「家でやりました! ただやっぱり音が大きいというだけじゃなくて音質的にもちょっとハンデがあって。だって近所からピアノの練習が聞こえてくるならまだいいですけど、ずっと一定のリズム刻んでる太鼓が聞こえてくるとかストレスじゃないですか!(笑)だからどうしようってなったんですが、うちは両親が建築士だったので、小さな部屋を防音室に改造しようと提案してくれて、そこに引きこもって練習していました」

−受験科目は小太鼓だけですか?

「マリンバもあります。なのでマリンバもあとから買いました」

−置く場所に困りそう…

「実家はよかったんですけど、今一人暮らしなので間取りすごいですよ(笑)」

−受験ではどんなことするんですか?

「左右交互に叩く基本打法、右右左左を繰り返す2つ打ち、右右左左右、左左右右左…と繰り返していく5つ打ち、同様に9つ打ちなどがあって、当日『じゃあ5つ打ち』のように指示されます。曲もあって、20個くらいの課題曲の中から当日指定で2曲くらいを。もちろん全部しっかりさらっていくんですが、やっぱり苦手なのとかはあって、どきどきでしたね。あと、『浜辺の歌』を歌いながら、任意の打楽器で伴奏をつけるというのも一次試験でやります。二次試験では、より音楽的な楽曲の演奏に加え、初見や自由表現も行います」

−自由表現?

「二次試験であるんですが、本当に自由に何かをやるっていう。オリジナルのリズムを演奏する人もいれば、小道具を使い一発芸のようなことをする人もいます」

卒業後の生活

−卒業後はどんな生活をされているんですか?

「演奏会や録音の仕事をしたり、レッスンを行ったりもします。個人だけでなく、吹奏楽部に出向いて教えたりとか」

−怖い先生ですか?(笑)

「怖くないですよ!(笑)でも怒ったりはしないですけど、できていないことがあればしっかり指摘します。『いいよいいよ』だけだと、かえって本人の意欲を削いでしまう可能性もありますし、私は生徒さんを長い期間で見ることが多いので、音楽に対する姿勢とかも学んでほしいなって」

−今までのお仕事で印象的な出来事はありましたか?

「打楽器のアンサンブルユニット組んでるんですけど、2月にコンサートをしようとホールを予約したら、その日が記録的な大雪にあたってしまって…車も電車も止まってリハーサルも押しまくり。もうなんとかやりきるのが精一杯で本当に大変でした…。でも、あの大雪のなか足を運んでくださったお客様もいらっしゃって、本当にありがたいなと…」

−プロになって大変だなあと思うことはなんですか?

「音楽は時間芸術なので、演奏会に来てくれる人がいたらその人の時間を奪って演奏するということになります。だから当たり前ですけど、体調が良いときも悪いときも、精神的に良くても悪くてもそのときの一番いいものを出さないといけない。それはいろんな意味で大変ですけど、お客さんが喜んでくださったり、良い本番ができたなあとか良い人たちとできたなーと思ったときに救われるんです。もちろん、良い音楽を聴いたときも。音楽のことで不安になったり、うわーってなるときもあるけど、結局音楽に救われて生きてるなって思うのでやっぱり音楽をやっていて幸せだなと」

打楽器奏者あるある

−打楽器奏者の方って筋力あるイメージあります

「ドライヤーをするときに腕をこう、持ち上げるじゃないですか。すると腕がプロレスラーみたいになります(笑)」

−そんなに!?(笑) やっぱり結構筋肉使うんですね!

「そもそも楽器自体が重いので、運搬するだけでもだいぶ筋肉使います。腕だけじゃなくて背筋もつくんですよ。前に本番で背中が出る衣装を着たことがあって、大きなドラをどーんって叩くときに背筋がすごかったって言われました(笑)」

−そこ見られてるんですか(笑)

「ほかにも別の本番で、アンケートに『打楽器奏者の足腰の強さにびっくりしました!』って書いてあったこともあって…すごく重いバチを持ち上げないといけないときがあったので(笑)」

−でも体幹が鍛えられるって良いですよね!

打楽器入門手引き

−今まであまり打楽器に注目してこなかったという人にむけて、打楽器の良さが伝わりやすい曲を教えてください!

「クラシックだと、近代のものの方が打楽器はたくさん出るんですよ。ストラヴィンスキーの『ペトルーシュカ』とかは良いかも。三大バレエ曲のひとつです。


出典:YouTube

あとオーストリアの作曲家グスタフ・マーラーが作曲したものには打楽器が活躍するものが多いです。たとえば『交響曲第6番』は木製の巨大ハンマーを使用するんですよ! あとは『ハーリ・ヤーノシュ』などもおすすめです!」

−最後に、読者のみなさんに打楽器の魅力を伝えてください!

「打楽器って、楽器がなくても机でも足でもリズムは鳴らせるし、本当に誰でも身体で楽しめるものなんです。最近は企業でのワークショップで取り入れられたりすることも多くて、体験された方はシンプルに音楽を楽しんでくださったり、同じリズムを共有することでチームビルディングに繋がったりと好評です! 機会があったらぜひ打楽器挑戦してみてください♪」

 

オーケストラでいくつもの打楽器を兼任し、ここぞというタイミングで迫力満点に打ち鳴らす打楽器奏者さんたち。その謎に包まれていた部分が少しかいま見れたのではないでしょうか!

私も腹太鼓を極めて全国デブコンクールで優勝目指そうかな😊

 

ノリコ・ニョキニョキ

ABOUTこの記事をかいた人

ノリコ・ニョキニョキ

COSMUSICA編集長。1989年イギリス生まれ。東邦大学医学部医学科中途退学、東京芸術大学音楽学部音楽環境創造科卒。IT企業、外資広告企業勤務を経て現在フリーのライター、編集。2016年6月にCOSMUSICA立ち上げ。ハープを勉強中。