受験情報【国立音楽大学編】

受験生のみなさまへ向けて、微力ながら受験情報、対策法、在校生(卒業生)の声を発信していくシリーズ、今回は【国立音楽大学】を取り上げます!

受験対策

国立音楽大学は、毎年12月におこなわれるNHK交響楽団の第九演奏会において、声楽専修の学生が共演することで広く知られています。また、附属図書館の音楽資料が非常に充実していることでも高い評価を受けています。

専攻は、「演奏・創作学科」と「音楽文化教育学科」の2学科に属する11の専攻(専修)の中から学べます。入学後、1、2年次は全学科共通である「基礎科目」の授業群で、専攻に合わせた演奏や音楽知識の基盤を固めます。3、4年次では「コース履修」という、将来のキャリアに生かすことを見据えた専門性を深めるためのコースを選択して学びます(選抜試験を課せられる場合もあり)。

楽典(作曲専修以外の志願者全員が受験)

出題は全体的に、既存の西洋音楽作品より断片が提示されて出題される傾向にあります。

音程に関する問題は、例年、器楽の四重奏曲から断片が提示され、指定された2音間の音程を問われます。ハ音記号を含めた各種課題に慣れておきましょう。続いて、転回音程や異名同音音程に関して問われます。基礎的なことが理解できていれば問題ありませんが、問題文に細かい指定があるので、対応できるようにしておきましょう。

音階に関する問題は、近年は不規則に並べられた7つの音から音階名を解答する問いが出題されています。長音階または短音階なので、楽譜に示されている音の中から派生音を選び、調号順に整理して考えれば、比較的答えやすいものであると思います。

和音に関する問題は、楽曲に示された和音に対し、転回形を含めた和音記号や和音の種類を選択します。和音記号の解答の際には調性があらかじめ示されていますし、和音の種類も七の和音までなので、基本的な力をしっかり身につけば問題ないでしょう。

移調に関する問題は、既存の楽曲の断片の中から示された部分を移調します。出題方法は移調楽器を実音にするもの、もしくは実音で書かれているものを指定された移調楽器が演奏できるように書き換えるものが出題されます。ハ音記号に移調することを求められることもあります。また、アーティキュレーションも書くことが指定されることが多いので、たくさんの課題に取り組み、素早く正しく書けるようにしておきましょう。

調判定に関する問題は、転調が含まれた課題楽曲のそれぞれ示された部分の調性を答え、それに関連した近親調の選択問題、また非和声音の種類を選択肢から解答します。また指定された箇所の終止形も選択肢から解答します。

楽語に関する問題は、選択肢の中から適当な意味を選ぶといった出題が主。ですが、2013年度には速度記号に対して接尾語を適切につけるというイレギュラーな出題もありましたので、本質的な意味をしっかりと捉えておくことが大切です。

その他の出題に関しては、音楽史に関するもの(2009、2016年度)、舞曲の名称(2006、2009年度)、提示された楽曲の作曲者名(2010年度)、また楽譜の演奏順や音価に関する問題(2010、2013、2016年度)のように、さまざまな角度から出題がされています。いずれも選択問題などではありますが、楽典の基礎力強化とともに、幅広い音楽知識を身につけておきましょう。

聴音(ピアノ・オルガン専修(鍵盤楽器)志願者のみ受験・作曲専修は別課題)

長きにわたり、伴奏付きの記憶聴音といった特色のある聴音課題が課されていましたが、2017年度の入学試験要項によると今年度入試から聴音課題の形式に変更があるようです。今回は「2017年度国立音楽大学入試要項」にある【模擬課題】を参考にご紹介します。

⒈単旋律における記憶聴音:記憶聴音はこの単旋律のみとなりました。アウフタクトの課題が出題されることもありますが、その際は事前に説明があり、演奏の際にもカウントがあるので聞き取りやすいでしょう。

また、はじめに出てきた旋律が、後半において同じ、もしくは少し変化を加えた形の旋律となって演奏される傾向にあります。以上のことを踏まえて、記憶聴音のコツをつかんでおきましょう。4回の通奏後に書き取ります。

⒉単旋律聴音:こちらは聞きながら書き取る単旋律聴音です。変化音を含み、複音程の跳躍も含まれますので、そういった特徴を持った課題に多く取り組んでおきましょう。

⒊複旋律聴音:大譜表による課題です(模擬課題では二声課題になっています)。後半の4小節は、前半の4小節に比べて音の数も変化音の数も多くなりますが、たくさんの複旋律聴音の課題に取り組み、しっかりと準備しておけば書き取れる課題だと思います。

⒋和声聴音課題:全8小節の和声聴音。前半はテノールの声部が休符となり三声となっていますが、途中から(入試要項の模擬課題では3小節2拍目から)四声になります。通奏6回で書き取ることになります。四声体開離の和声課題が取れる方でしたら問題なく書き取ることができると思います。

新曲視唱(声楽、ピアノ・オルガン、コンピューター音楽、音楽情報の各専修以外の志願者が受験)

3曲の視唱課題を予見し、試験会場で1曲が指定されます。課題の曲には速度記号とブレス記号、アーティキュレーションが書かれているので、即した表現で歌えるようににしましょう。3曲とも、音やリズムは取りやすいものだと思いますが、課題の曲を素早く予見できる読譜力を身につけておくことが大切です。

卒業生の声

校風はいい意味でも悪い意味でも自由でマイペースであると思います。

僕が専攻している学科は、先生や先輩後輩ととても距離が近い学科です。年に2回ほど学科のコンサートがあり、そこでいろいろな学年とコミュニケーションをとるので必然的に、学科内のいろいろな人と関わります。

コンピュータ音楽作品を創作する際にいろいろな機材を使うのですが、この大学はとても機材が充実しています。ほとんどのケースにおいて最適な機材を使うことができるのは、とても魅力的です。

この大学に関わらずどこもそうであると思いますが、音楽大学に入ったら誰でも音楽家になれるわけではありません。しかし、在学中の過ごし方によっては理想を実現できると思います。僕の大学は、やれば確実に成長するしやらなければ確実に成長しないというとても自主性が重要な大学だと思います。(作曲専攻コンピューター音楽専攻卒 T.M)

入試情報

・出願期間:平成29年1月11日(水)~1月19日(木)期間内消印有効
・試験日程:平成29年2月18日(土)~2月22日(水)

※一般入試、音楽学部の場合の情報を掲載しています。
※詳細は公式ホームページの入試情報でご確認ください。